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クローニン [法の下の平等]

1968(上) 若者たちの叛乱とその背景

やっと小熊英二のほうを読み出したのであるが、なにせ1091ページもあるから当然、貸し出し期限中に読みきれるわけがない[ふらふら] 渋々返してまた予約取ろうと思ったのだが、また誰か借りてるし。あんなぶ厚い本を読もうと思う奴の顔が見てみたい[ふらふら] そういえば産経新聞でさらば革命的世代というコラムが去年の6月くらいまで1年ほど連載されていたのだが、そのコラムを「全共闘世代は決して読まないだろう」という意見が複数寄せられたそうだ。ということは多分この1968(上)も、アラカン世代は敬遠しているであろうとして、まず活字離れしているような現在の10代から30代であんなぶ厚い本は借りないだろうし、40代のお父さん世代では、興味はあるとしてもあんなぶ厚い本を読む暇がないだろうし、だとすると子育てもひと段落した40代後半から50代の大学生以上の子供を持つ、なんらかの市民運動っぽいものに参加しているようなお母さんしかありえそうにないのだけれど。返却したのが平日の時間外だったから、平日借りることが出来るという物理的条件も考えると、40代後半からの女性というところしか浮かんでこないのだけれど、女性が読むかなぁー、というところは少し懐疑的ではある。まぁ、それはいいとして、時代的・世代的背景(上)─政治と教育における背景と「文化革命」の神話/時代的・世代的背景(下)─高度成長への戸惑いと「現代的不幸」/セクト(上)─その源流から六〇年安保闘争後の分裂まで、までを読んだのであるが、前もって絓秀実のほうの1968年1968を読んでいたので、特に「セクト(上)」あたりの一次ブントの流れは肉付け的によく理解できた。しかしまぁ、東大細胞であった例の西部邁が自ら暴露しているのだが、59/11の東大教養学部の自治会委員長に当選した選挙のときに、結果を改竄していたことには呆れ返ってしまう。共産主義(根っからのスターリニズム!)であって民主主義ではないわけで、党派的な争いになにがなんでも勝利しなければならなかったのが、一次ブントの本質だったらしい。西部は当時を回想して、「革命」とは純粋性とか徹底性とかを表す理念語、としているが、実態としては卑劣漢でしかないわけで不純極まりない。というのも、まぁ事後的ではあるが、60年安保闘争が臨界に達するのは、5月20日に衆議院で新条約案が強行採決されたことに対してで、「民主主義の破壊である」として一般大衆をも巻き込む正義に基づいているわけだからである。それを一次ブントが牽引するのであるからおかしな話である。まぁ、あと60年安保で運動を牽引していた裏で、活動費の枯渇から島成郎書記長が右翼から資金提供を受けていたというのも絶句する。そして全学連第16回大会で、東大、早大、明大、女子美等学生細胞中心の「革命の通達派」(革通派)が主導を主張したことで、学連書記局細胞中心の「プロレタリア通信派」(プロ通派)による東大主導のエリート主義的な態度が気に食わなくて分裂してしまうわけである。とは言え、実質的解体はなんと60年安保闘争最頂期以前に、度重なる指導部の公安当局による逮捕ですでに直面していたのであり、中心なき烏合の衆が奇跡的に大衆を動員し、またその大衆に紛れてしまっていたということである。その総括、ブント第5回大会において、ブント全学連の闘争は正当に評価されるべきである(産湯と共に赤子を流すべきではない。再突入が出来なかったのは権力奪取の思想がなかったからである・姫岡怜治=青木昌彦)とするプロ通派と、「闘争は敗北と総括すべきである。敗北の根因は、国会再突入をためらったブント指導部の日和見主義と、その日和見主義をもたらす経済理論(姫岡玲治国家独占資本主義論=自己金融論)にある」(東大細胞意見書・星野中論文)と断罪した革通派で60年安保を敗北と見るかどうかで分裂したのである。後、ブントの事務局や出版を担っていた戦旗派(ブント機関紙「戦旗」が由来)は、安保闘争は学生運動主体の小ブル急進主義運動に過ぎない。労働運動への革命的転化を目指すべき前衛党理論と指導の不十分さとして総括すべきであるとした。まぁ、こうして一次ブントは解体、消滅へと進んでいくのであるが、これは東大細胞分裂事件(1947/12 雑誌「近代文学」に影響された東大学生党員が分派活動を行ったと非難され、日共が戦後初の大量の除名処分をした事件)に似ているといえば似ている。ただ、東大細胞分裂事件は日共指導部が上から除名という圧力を行使している点と、ブント解体は革通派が指導部を突き上げたことで分裂した点は大きくことなるのであるが、細胞は成長するにつれて分裂していくということでそう感じるのである。まぁ、しかしながら、細胞というのも栄養が行き届かなくなると死んでしまうわけで、革共同第二次分裂のときに設立していた革命的共産主義者同盟全国委員会(革共同全国委)に戦旗派(森茂など)とプロ通派(清水丈夫・西部邁・青木昌彦など全学連書記局グループ)の一部が合流していくことになる。



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